< 賃金計算をめぐる Q&A >

 

Q1.欠勤控除をする場合の注意点とは?

 

従業員に欠勤/遅刻等による「不就労」があった場合、不就労時間に相当する賃金については賃金請求権が発生しないので、その分の賃金を支払う義務はありません。不就労時間に相当する賃金額の計算については労基法その他の法令に規定は無い為、労基法24条に定められた賃金支払の原則に反しない限り、就業規則・賃金規程等に定められた方法により控除できることになります。精皆勤手当についても、他の手当と同様に欠勤・遅刻等に相当する部分に限り控除しても法的な問題はありません。ちなみに、就業規則等の規定により精皆勤手当を支給しない行為は「欠勤の控除」とは違いますし「減給の制裁」でもありません。支給要件を満たしていない為、支給しなかったに過ぎません。欠勤等による控除をする場合に注意すべきことは、不就労時間に相当する賃金額を超えた「控除」をしてはならないというルールです。例えば、遅刻3回で1日分の賃金を控除するなどの扱いが代表例ですが、3回の遅刻の合計時間が「1日の所定労働時間」を超えている場合に問題は生じませんが、超えていない場合に1日分の賃金を控除すれば、基24条違反と見なされますのでご注意下さい。

 

Q2.年休を取得した場合の賃金は、どの様に計算するのか?

 

取得した年休(年次有給休暇)に対して支払うべき賃金は、労基法39条で定められています。   ①平均賃金/②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金/③健康保険法第3条に定める標準報酬日額に相当する金額ですが、①~③のどれを選択するかは、その都度会社が自由に選択できるものでは無く、就業規則その他これに準ずるもの(③を選択する場合は、労使協定締結が前提となります)であらかじめ規定しておく必要があります。尚、①・②の場合には(年休が発生した都度)年休に相応する賃金の計算をする必要がありますが、①を選択している場合は「月給により算定した通常の賃金が平均賃金を上回る限り、その月給を支払えば足りる(基発第 573号/基発第90号)とし、②を選択している場合も「出来高払等の請負制の場合を除き、通常の勤務をしたものとして扱えば足り、控除計算をその都度行う必要は無い(基発第 675号)」とされ、計算の簡素化が認められています。

 

Q3.残業代を計算する場合の「端数処理」は認められているか?

 

使用者(会社)には「適正な労働時間を把握する義務」を課す一方で、割増賃金の支払については事務手続の簡素化を目的として、以下の取り扱いは違法ではありません。(通達/解釈例規より)①1ヶ月に於ける時間外労働、休日労働、深夜労働の各々の合計時間数に1時間未満の端数がある場合は、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること。②1時間当たりの賃金額、割増賃金額に「円未満の端数」が生じた場合は、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること。但し、通達等の解釈/運用についての実務上の注意点は次の様になります。 ①簡素化が認められているのは、あくまで1ヶ月単位の端数処理であって、1日単位や1週間単位の端数処理を認めたものでは無いこと。つまり、日ごと1分単位で集計した労働時間の「1ヶ月の合計」についてのみ、通達の取り扱いが認められることに注意が必要です。②切り捨てが認められているのは、あくまで 30分未満のものに限られ、 30分以上の端数は「1時間」に切り上げられることになります。

  

 

 

   

 湊元社会保険労務士事務所

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